日本の相続税24-相続 遺留分制度
<日本の相続(24)-遺留分制度>
遺留分制度は、相続人に最低限相続を保証する制度です。故人の最後の意思を尊重して、遺言通りに財産を振り分けるのは望ましいことです。しかし、自由に処分できるからといって、例えば遺族(相続人)には歓迎できない他人へ、財産のすべてを渡すという遺言が残された場合、妻子は自宅を明け渡してすべての財産をその受遺者に与えなければならず、相続権があるのに遺産を相続できないという結果を招きます。故人の自由な意思を無制限に認めると、非人道的とさえ言えることが世の中にまかり通ってしまいます。
そこで民法は、遺族の生活保証や財産形成への貢献を考慮して、財産が自由に処分されることによって遺族の生活が脅かされることがないよう、相続権の最低限の保護を定めた「遺留分制度」を設けています。遺留分は、故人が自分の意思で処分できない財産の割合であり、故人の財産処分の自由と相続人の保護の調和を図り、一定割合の相続財産を相続人に留保することにより、遺言に対してある程度の制限を加える効果があります。遺留分がある相続人は、侵害された遺留分について減殺請求という形で返還を求めることができます。(129)