米国滞在中の死 Death of Japanese Citizen in the U.S.


<米国滞在中の死 Death of Japanese Citizen in the U.S.>

日本の本社から現地法人子会社へ出向で来ている駐在員が、交通事故で亡くなりました。遺言は残しませんでした。Eビザ、米国(NY州)滞在年数は6年。遺族は妻と子一人で、遺された財産は日本と米国にある住居と銀行預金です。無遺言死亡の場合のプロベート裁判所手続の問題がありますが、ここでは米国遺産税と日本の相続税の課税についてだけ検討します。

米国の遺産税 遺産税の居住者・非居住者の区分は、所得税の区分と異なります。遺産税上は滞在日数によらず、Domicile (いずれは帰ってくる故郷や本籍地のこと)が米国内にあるかどうかで居住者・非居住者の判定が分かれます。そのため、Eビザ保持者は勿論のこと、永住権保持者の多くが非居住者として区分されます。非居住外国人の課税対象遺産は、米国内財産に限られ、米国外財産は非課税です。非居住外国人の米国銀行預金は定義上米国外財産と見なされて非課税です。課税対象遺産から基礎控除を差し引いた残額に税率を掛け合わせて遺産税を算出します。非居住外国人の基礎控除は一律6万ドル、または日米相続税条約第4条に基づく金額であり、それは米国市民用の基礎控除534万ドル(2014年)に課税対象遺産が全世界遺産総額に占める割合を掛け合わせて得られた按分配賦額です。婚姻控除(配偶者免税)は認められません。

日本の相続税 被相続人(故人)と相続人(遺族)の双方の住所が、過去5年以上日本国外にあったため、日本国外財産(米国の住居と米国銀行預金)については日本の相続税の対象外です。課税対象となるのは、日本国内財産だけです。(263)

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