永住権放棄 Abandonment of Green Card
<永住権放棄 Abandonment of Green Card>
2008年6月17日にブッシュ大統領の署名によって永住権放棄者・国籍離脱者に適用される従来の税務規定が全面的に改定されました。旧規定は、特定の放棄者・離脱者が出国後10年間にわたって連邦税の申告納税義務を負うというもので、2008年6月16日まで適用されていました。2008年6月17日以降適用となった新規定は、放棄者・離脱者に新設された「出国税」の納税を義務付けました。
放棄者・離脱者の「出国税」とは、全世界に所有する財産を出国日の前日に売却したと仮定して計算されるみなし譲渡益に対する時価評価税や課税繰延資産に対する源泉課税を指します。さらに、放棄者・離脱者が出国後米国居住者に対して行う財産移転にかかる遺産税・贈与税として、新たに「相続贈与の受益者課税」が導入されました。
旧規定では、出国後の米国滞在日数を計画的に制限することにより、放棄者・離脱者の連邦税の申告納税義務を合法的に回避することが可能でしたが、新規定の適用上、一定の放棄者・離脱者が時価評価税や源泉課税を避けることは、殆ど不可能です。米国外での滞在日数が多くなったため永住権保持者の意思に反して永住権を放棄せざるを得ない場合など、思いがけず多額の出国税が課せられることがないように十分気を付ける必要があります。(235)