海外所得と州所得税 State Tax and Oversea Income
<海外所得と州所得税 State Tax and Oversea Income>
個人所得税は、連邦政府(IRS)だけでなく、州政府や一部の市政府によっても課税されます。居住者や市民の身分で申告する場合、連邦税の計算上課税対象となる所得は、一部の例外を除いて州税上も課税対象となります。連邦税の申告所得の中に既に一度海外で課税された所得が含まれていると、「外国税額控除」の作用によって国際間の二重課税の回避が達成できます。外国税額控除が、州税の計算上も認められればいいのですが、そうでないことが問題です。
勤務している州と居住している州が異なり二州以上と関わりを有する納税者は、通常、勤務州には非居住者の身分でその州の給与所得だけを申告し、居住州には居住者の身分で連邦税で報告したものと同じ年間全所得を申告します。その際、勤務州で支払った税金は、「他州税額控除」の形で居住州の税金から差し引かれて二重課税が回避されます。この州税計算上の他州税額控除は、連邦税の外国税額控除の仕組みに類似してはいるものの、国際間の二重課税の問題解決の役目を果たすことができません。米国内の州の間の二重課税は解決しますが、外国税の支払いに対する救済には役立たないのです。
以上を踏まえて注意しなければならないのは、予定納税の計算の際、外国税額控除によって連邦税の支払いの必要はないと予測されても、州税の追加納付が必要であることを確認して、予納過少納付のペナルティーが課せられないようにすることです。(272)