芸能人・運動家の税務 Entertainer and Sportsman
<芸能人・運動家の税務 Entertainer and Sportsman>
日米間の国境を越えて活動する芸能人および運動家(芸能人等)の税務については、日米租税条約第16条が規定しています。国境を越えて公演や競技などの個人的活動を行う日本からの芸能人等は、原則、活動が行われた源泉地国(米国)で課税されます。ただし、年間の滞在日数に関わらず、芸能人等としての活動から得られる所得が1万ドル(日本では日本円相当額)以下の場合は、源泉地国での課税は免除され、1万ドル超の場合にだけ課税されます。すなわち、米国における公演等による総収入額が1万ドルを超えない日本からの芸能人等については、米国での課税は免除となります。1万ドルを超えると、所得の総額に対して米国で課税されます。米国で課税されてもされなくても、日本の居住者として日本で課税対象になることは言うまでもありません。
特定された芸能人等による個人的活動からの所得が、本人に支払われず芸能法人等に支払われる場合は、その芸能法人等の所得について、源泉地国で課税されます。日本の法人等の事業活動から生じる所得は、原則、米国内に恒久的施設がある場合に限り米国での課税が生じますが、この場合の芸能法人等の所得は、恒久的施設原則(条約第7条)の例外です。オーケストラやバレー団等のように、芸能法人が締結する契約において活動を行う個人芸能人が特定されておらず、芸能法人との関係が雇用主対従業員の関係である場合は、米国内に恒久的施設がなければ、租税条約第7条の恒久的施設原則により、芸能法人等の所得は免税となります。(273)