日本の相続㉛ 複数の遺言書
遺言者の死亡後、複数の遺言書が見付かり、その内容が抵触する場合、遺言書の優先順序が決められています。新旧の遺言書の内容が重なる場合は、新しい遺言によって古い遺言は取り消されたものと見なされます(民法1023条)。遺言書が何通出てきても、一番最後に作成された遺言書、すなわち日付の新しい遺言書が有効な遺言となります。新旧の遺言書の内容が抵触しない部分については、古い遺言に書かれたことも有効になります。
遺言が取り消されたものとして扱われる場合は、次の通りです。
- 後の遺言によって、前に作成した遺言を撤回する旨の遺言をする。
- 後の遺言によって、前の遺言内容に反する遺言をする。
- 遺言をした後に、生前に遺言内容に反する処分行為(遺言の目的物を売却するなど)をする。
- 遺言者が故意に遺言書を破棄する(破り捨てる、焼却する、塗りつぶす、押印なく訂正する)。
- 遺言者が遺贈の目的物を破棄する。
詐欺または脅迫によって遺言書が作成されたことが遺言者の死亡後に判明した場合は、相続人は、その遺言の取消しを請求することができます。(797)