日本の相続㉗ 遺言の撤回


 

遺言者は、いつでも自由に遺言の全部または一部を撤回(取り消し)することができます。また、遺言を撤回する権利を放棄することはできず、たとえ撤回しない旨を遺言書に記載したり、あるいは利害関係人に約束したりしていても、拘束されることはありません。遺言の撤回を詐欺または脅迫によって妨げた者は、相続欠格者とされ、相続の対象外となります。

 

遺言の撤回は、遺言による方法と行為による方法があります。

 

  • 遺言による方法

・ 前の遺言の全部または一部を撤回する新しい遺言を作成すると、前の遺言は初めからなかったことになります。

・ 前の遺言に反する新しい遺言を作成すると、反する部分については、新しい遺言が優先され、前の遺言は新しい遺言により撤回されたことになります。

 

  • 行為による方法

・ 遺言に反する生前処分(譲渡、寄付、売買など)を行うと、反する部分は撤回されたことになります。

・ 遺言者が故意に遺言書を破棄した場合、遺言内容は撤回されたものとみなされます。遺言者の過失、第三者の行為または不可抗力による破棄は、撤回の効力がありません。

・ 遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合、その遺贈は撤回されたことになります。 (793)

Copyright © 2014 Joe Oshima, CPA All Rights Reserved