日本の相続㉖相続人の不存在
天涯孤独の人が遺言を残さず死亡し、相続人がいないことがあります。身寄りがない人が亡くなり、自分の死後財産をどうするかという遺言を残していなかった場合、財産は一体誰のものになるのでしょうか。
まず、利害関係人(被相続人と何らかの関係があった人)あるいは検察官の請求により、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、相続財産の管理や負債の清算をして、債権者や受遺者に対して請求催告の公告をします。また、一定公告期間を定めて不明の相続人を捜索し、期間内に相続権利の主張の名乗りがなされなければ、管理人に知れなかった相続人、相続債権者、受遺者は権利を失い、相続人不在が確定します。
次に家庭裁判所が「特別縁故者」からの申し立てを受け付けます。「特別縁故者」とは生計を同じくしていた内縁の妻や事実上の養子、療養看護に努めた親族・知人・看護士などです。内縁の妻は相続できないのが常ですが、相続人がいない場合で「特別縁故者」と認められれば財産の一部または全部が分与されます。
家庭裁判所の審判により相続管理人の報酬が決定され、精算・分与後なお残余財産があれば、国庫に帰属します。(792)