日本の相続⑭死因贈与
「死因贈与」は、贈与者(財産を与える人)と受贈者(財産を受け取る人)との間の契約によって成立します。贈与者の死亡によって財産を契約通りに受贈者が受け取るのが「死因贈与」です。通常、贈与には贈与税が課されますが、死を原因とする贈与契約である「死因贈与」は、遺産と同様に考えられるため、相続税が課されます。すなわち、「相続」や「遺贈」ばかりでなく、「死因贈与」によって故人の遺産を受け取った時にも相続税がかかるのです。
「遺贈」は、遺言者の一方的な意志によるものであるため、気が変われば遺言書を書き変えて遺産の譲り渡しを取り止めることもできます。一方、「死因贈与」の場合は、受贈者との契約であるため、勝手に契約を破棄することはできません。いずれにしても、「遺贈」も「死因贈与」も、人が死亡することによって財産を得るため、基本的には相続と同等の扱いを受け、相続税が課されるのです。
「死因贈与」によって財産を取得した個人(受贈者)は、取得財産を課税標準として計算した相続税を納付します。(784)