日本の相続⑬ 遺贈
相続が開始されて、その相続財産が一定金額以上あると相続税がかかってきますが、相続によって財産を得たときだけに相続税がかかるわけではありません。相続のほかに、「遺贈」と「死因贈与」という2つのケースのときにも相続税がかかります。
「遺贈」とは、一定の方式に従った遺言書によって財産を人に譲ることをいいます。遺言者の死亡と同時に一方的に特定人物(受遺者)に財産が与えられます。遺贈の相手に関しては制限がなく、相続人はもちろんのこと、相続権のない親族、血縁関係のない第三者や会社など、誰でも受遺者として指定できます。遺産全体の割合を示して遺贈する「包括遺贈」は、指定された割合で遺産を引き継ぐ権利を持つことになるため、受遺者は立場的に相続人と同等になります。したがって、故人に債務があれば、それを負担しなければなりません。
「何町目何番地の土地何平方メートル」というように、財産を特定する「特定遺贈」は、明確な物件が指定されるため、故人の債務を一緒に負担することはありませんし、債務の受け入れを拒否することもできます。(783)