ビザと税金
米国の所得税法上、外国人 (日本人) は居住者あるいは非居住者に区分されます。どちらに該当するかによって、課税対象となる所得の範囲が異なり、認められる控除の種類や適用される税率に違いがあります。使用する用紙も、居住外国人はフォーム1040、非居住外国人は1040NRという具合に異なります。このため外国人の米国における所得税を検討するにあたって、本人が居住外国人か非居住外国人かを判定することが最も重要なポイントであり、出発点となります。判定は、ビザの種類によって、あるいは、米国税法の「実質的滞在条件」や日米租税条約の規定に基づいて下されます。注意すべきことは、所得税法上の居住者・非居住者の定義は、遺産税・贈与税にはそのまま適用されないということです。’Domicile’(定住地)と呼ばれる所得税とは全く異なる概念が用いられて、遺産税・贈与税法上の居住者・非居住者が決定されます。
ビザの種類で非居住者となるのが、A (外交官)、G(国際機関)、F (学生)、J (国際交流)、M (専門学校生)、Q (交流訪問) の各ビザ保持者です。米国内での滞在日数に関係なく非居住外国人になります。永住権 (グリーンカード) 保持者は、たとえ国外に住んでいたとしても必ず居住者になります。上記以外のE(投資家)、H(就労)、I(報道)、L(駐在員)、O(卓越能力者)、P(運動芸術)各ビザ保持者は、実際に米国に滞在した日数によって居住者・非居住者が決まります。簡単にいえば、「実質的滞在条件」と呼ばれる183日を基準とした滞在日数よりも長いか短いかで居住者または非居住者となります。(723)