項目別控除(Itemized Deductions)が節税になるとは限らない
住宅所有者は、税金計算上貸家住まいと比べて、固定資産税と住宅ローン支払利子の減税効果のある控除が認められて優遇されてきました。ところがトランプ大統領の税制改正が制定され、2018年以降、諸税金控除による優遇措置に歯止めがかかることになりました。諸税金とは、州・市の所得税と固定資産税の合計額をいいますが、諸税金額に対して、1万ドル(既婚者個別申告は5000ドル)の上限額が設定されました。
納税者は、項目別控除あるいは概算額控除のうち、いずれか有利な控除方式を選択して税金を計算することができます。概算額控除を選択できるのは、米国市民である場合、または、一年中を通じて居住外国人であった場合に限ります。控除の制限が施されたことにより、大概の場合項目別控除の方が有利となるという従来の考え方は改められることになります。
(例)既婚者Aさんは、控除方式として概算額控除(2018年2万ドル)と項目別控除のどちらを選択したら有利となるか計算します。A さんは、固定資産税1万5000ドル、州・市所得税1万ドル、住宅ローン支払利子9000ドルを支出したとします。2017年までは、諸税金の合計額2万5000ドルと支払利子9000ドルの総合計3万4000ドルが項目別控除として認められていました。2018年以降は、諸税金控除の上限額が1万ドルに抑えられ、その額に住宅ローン支払利子9000ドルを加えた1万9000ドルが項目別控除額となります。Aさんは、控除方式として項目別控除(1万9000ドル)ではなく概算額控除(2万ドル)を選択することにより節税となり、有利となります。(702)