相続税(日本)と遺産税(米国)の比較
納税義務者
日本の相続税 (Inheritance tax) は、財産を受け継ぐ遺族 (相続人) に対する課税であるため、納税義務者は財産を受け継ぐ相続人です。
米国の遺産税 (Estate tax) は、故人(被相続人) の遺した財産(遺産)に対する課税であるため、納税義務者は被相続人(実際には遺産管理人・執行人)です。
基礎控除
日本の相続税の基礎控除は、2019年現在3000万円の定額控除に、法定相続人一人当たり600万円の比例控除を加えた合計額です。法定相続人の人数が多ければ多いほど基礎控除も増額となり、相続税の総額が減額する仕組みとなっています。基礎控除額は、相続人が一人の場合3600万円、二人の場合4200万円になります。
米国の遺産税の基礎控除は、2018年11.18 millionドル、2019年11.4 million ドルであり、課税対象となる遺産の金額がこの基礎控除額を超えれば税金が発生します。ドル表示であるため実感がわかないかも知れませんので、$1=110円で日本円に換算すると約12.5億円となり、日本とは比べものにならないほど高額になります。遺産額が12.5億円までは税金が発生しないわけですから、富裕層だけに適用され、米国市民のほとんどが亡くなっても遺産税の心配をする必要がないことを意味しています。
永住権保持者は外国籍であるため、必ずしもこの大幅控除の恩恵を受けられるとは限りません。永住権保持者が米国にDomicile (定住地) があり、遺産税法上、米国籍と同等の身分判定を受けることができれば、基礎控除の適用を受ける可能性があります。非居住外国人は、課税対象となる遺産の種類や基礎控除が異なるため注意を要します。日米相続税条約による救済措置も考慮に入れることが勧められます。
税率
日本の相続税の税率は、10%から55%までの8段階の累進税率で、最高税率は55%です。
米国の遺産税の税率は、18%から40%までの12段階の累進税率で、最高税率は40%です。