「日米租税条約」による免税所得と州税


米国の所得税は連邦政府に加えて、州政府や一部の市政府や郡政府によっても課せられます。連邦税と同一の税制が州税や市税にも適用されるかというと、必ずしもそうではありません。例えば、居住者・非居住者の州税上の定義は、連邦税のそれとは異なります。日米租税条約の取り扱いも、連邦税と州税とでは大きく異なります。そのため、連邦税は税金が免除されるのに、州の所得税は支払いが生じる場合があります。

F、J、M、Qビザで大学に通う米国滞在者は、条約第19条の適用により教育または生計維持のために日本から受け取る給付や仕送りについて、米国での課税が免除されます。事業修習生は、ビザの種類に関係なく入国後1年以内に受け取る日本からの給付や報酬について、米国では免税となります(条約第19条)。教授や研究者は、教育機関における教育または研究のために受け取る報酬について、米国内での支払いも含めて米国入国から2年間、課税免除となります(条約第20条)。免税のため税金の支払いがない場合でも、免税の法的根拠と金額を開示する申告書の提出を必要とします。

租税条約の規定によって免税となるのは、原則として連邦税に限ります。日米租税条約は、アメリカ合衆国(連邦政府)と日本国との間で締結された国家間の取り決めであり、免税は州法には及ばず州税が課されることがあります。(689)

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