生命保険金―米国での課税
生命保険金・死亡給付金の税金上の取り扱いは、死亡者が米国籍保持者・居住外国人である場合と非居住外国人である場合とで異なります。非居住外国人の死によって生命保険会社から生命保険金・死亡給付金が支払われた場合、米国で所得税や遺産税、贈与税が課税されることはありません。
死亡したのが米国籍保持者・居住外国人である場合、遺産税(Estate Tax)の課税を検討する必要があります。保険契約によっては遺産税の対象になる場合とならない場合とがあります。保険金が遺産税の課税対象となるかどうかは、死亡した保険加入者(被保険者、例えば夫)が保険証書上、保険の所有者としての権利を有していたかいないかによります。生命保険の所有者としての権利とは、保険契約の解約、保険金の受取人の変更、保険証書の譲渡、保険に基づく借入れの権利などに関する決定権を持っていることを指します。税金を回避するには被保険者に一切の権利がない生命保険の契約を締結することが必要です。既に契約している生命保険証書がある場合は、所有者としての権利や決定権をすべて相続人(妻)へ譲渡することにより、生命保険金・死亡給付金の支払いが遺産税のかからないようにすることができます。ただし、死亡時から3年以上前に権利の譲渡が完了していなければなりません。(687)