海外贈与・相続の報告
日本で親が亡くなり、米国居住者である子が相続人として財産を受け継いだ場合、日本で相続税が課せられます。親の遺した遺産は日本国内財産だけであり、米国国内財産が含まれていなければ、課税の対象とならないため米国遺産税は発生しません。同様に、日本の親が米国居住者である子に渡す日本財産の贈与は、日本で贈与税の対象となりますが、米国の贈与税は課せられません。このような米国の遺産税・贈与税の対象とならない海外での財産の移転は、それらが海外において課税対象となるかないかに関わりなく、IRS(内国歳入庁)に報告する義務があります。
海外で受け継いだ財産(不動産、金融資産等)は、申告書フォーム3520 (Annual Return To Report Receipt of Certain Foreign Gifts) に詳細を記入の上、IRSへ提出します。提出期限は所得税申告書フォーム1040の提出期限と同じ暦年終了後の4月15日(延長可)であり、提出先はフォーム1040の提出先とは異なるIRSユタ・センターです。提出義務者は、海外贈与・相続の移転を受けた米国籍保持者・居住外国人です。非居住外国人は提出義務がありません。フォーム3520の申告不履行、遅延に対するペナルティーは1万ドルが定められています。
フォーム3520の記入事項は、納税者・配偶者の氏名、納税者番号、住所。非居住外国人から受けた10万ドル超の贈与・相続。5000ドル超の財産ごとに、移転日、財産の内容説明、時価を記載。(680)