相続税と遺産税 – 日米比較
人が亡くなると、遺産を遺した故人(被相続人)と遺産を受け継ぐ遺族(相続人)の居住国や財産の所在国に応じて、日本と米国の両国、あるいはいずれか一方の国で相続税・遺産税が課税されます。日本の相続税 (Inheritance tax) は、財産を受け継ぐ遺族(相続人)に対する課税であるため、納税義務者は相続人です。 米国の遺産税 (Estate tax) は故人(被相続人)の遺した財産(遺産)に対する課税であるため、納税義務者は被相続人(実際には遺産管理人・執行人)です。
日本の相続税は、10%から55%までの8段階の累進税率で、課税対象となる相続財産が基礎控除の金額を超える場合に税金の支払いを必要とします。基礎控除は3000万円の定額控除に法定相続人一人当たり600万円の比例控除を加えた合計金額です。法定相続人の人数が増えると基礎控除が増加して、相続税の総額が減額する仕組みとなっています。
連邦遺産税は、18%から40%までの12段階の累進税率です。遺産税は、基礎控除11.18ミリオン・ドル(2018年)を超える場合に生じる税金であり、アメリカでは余程の金額の遺産を遺さない限り支払う必要はありません。州によっては州遺産税も課せられます。法定相続人の人数に関係なく基礎控除額が一律適用となるため、相続人の人数の増減によって遺産税の金額が増えたり減ったりすることはありません。故人が非居住外国人の場合、課税対象となる遺産の種類や基礎控除が異なるため注意を要します。(679)