相続の承認と放棄


遺産相続というと、プラスの財産(資産)だけが相続人に継承されるように思えますが、実は、それだけではなく、マイナスの財産(負債)も相続人に継承されることになります。日本において相続という避けられない事情で負債まで背負ってしまうのでは、相続人に酷です。そこで、相続人には、遺産相続を受け入れるか、受け入れないかの選択権が認められています。相続するという意思表示を「相続の承認」といい、相続しないという意思表示を「相続放棄」といいます。相続人にはこの相続を承認するか放棄するかという選択権が認められているのです。

相続の承認には、「単純承認」と「限定承認」があります。単純承認とは、負債を含めて遺産相続の全部を受け入れるという意思表示であり、被相続人の一切の権利義務を「無限に」継承することになるため、プラスの財産(資産)だけでなく、マイナスの財産(負債)もすべてそのまま受け継ぎます。限定承認とは、相続財産の中から負債を支払って、それでも財産が残っていれば相続するという留保付きの相続の承認のことであり、財産の範囲内に限定して債務を負担します。

限定承認または相続放棄を選択するには、相続開始から3ヵ月以内に家庭裁判所へ届け出なければなりません。この3ヵ月の期間を過ぎると単純承認したものとして扱われます。(640)

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