外交・公用のためのAビザと税金
Aビザを保持する大使館、総領事館などの外国政府勤務者やその家族は、米国税法上、非居住外国人として扱われます。Aビザを保持する外交官等は、居住者・非居住者の判定基準である「実質滞在条件」の適用外とされていて、たとえ何年間米国内に滞在していたとしても、非居住外国人となります。Aビザ保持者が本国政府のために活動し、本国や在外公館から受け取る給与や報酬、手当ては、支払いの場所や金額に関わりなく、全額が非課税であり、連邦税の申告・納税の必要もありません。
政府の職務以外の所得、例えば本人や配偶者による外部アルバイト収入や個人的投資所得については、外交官特権は認められず、通常の非居住外国人のための税法規定が適用されて課税が発生します。外部アルバイト収入は、通常の連邦所得税(10%~39.6% の7段階の税率)の対象となり、フォーム1040NRによる確定申告が必要です。連邦税に加えて、さらに州・市所得税の確定申告も求められます。
米国での納税・申告に必要となるのが個人納税者番号(ITIN)です。通常米国では、ソーシャル・セキュリティー番号が個人納税者番号として役立ちますが、ソーシャル・セキュリティー番号を取得していないAビザ保持者の場合は、IRS(内国歳入庁)からITINを取得しなければなりません。ITIN の申請のためにはやや煩雑な手続きを要します。(609)