相続放棄


日本で親が亡くなった場合、一定範囲の親族(相続人)が親の遺した財産を相続によって引き継ぎます。相続財産には、預貯金、有価証券、不動産などプラスの財産のほかに、借入金、未納税金、連帯保証債務といったマイナスの財産も含まれます。財産よりも債務の方が多い場合、相続人が借金を抱えることになります。相続人が相続財産を受け入れるかどうか自由に選択することが認められていています。債務から逃れる道として、「相続放棄」あるいは「限定承認」と呼ばれる選択肢が与えられます。

相続放棄とは、被相続人(親)の有する一切の権利・義務が自分のものとなることを拒否することで、相続そのものがなかったことになります。限定承認とは、プラスの財産の範囲内に限定して債務を負担することをいいます。相続放棄または限定承認を選択するには、相続開始から3ヵ月以内に日本の家庭裁判所へ届け出なければなりません。この3ヵ月の期間を過ぎると、「単純承認」したものとして扱われます。すなわち、財産と債務のすべてを無条件、無制限に承認して引き継いだこととなり、財産よりも債務の方が多い場合、相続人が自分の財産でそれらを返済しなければなりません。(579)

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