永住権保持者の遺産税
永住権(グリーンカード)保持者の取り扱いが、所得税と贈与税・遺産税とでは大きく異なります。所得税法上、グリーンカード保持者は、自動的に居住外国人となり、米国市民と同等の扱いを受けます。一方、贈与税・遺産税法上、グリーンカード保持者が居住外国人と見なされるためには、Domicile (定住地)が米国内になければなりません。Domicile とは、本人がいずれは戻ってきてそこに定住すると考えている故郷のような場所ことを指します。それが米国内にあれば「居住外国人」、米国外にあれば「非居住外国人」となります。所得税法上の判定基準を贈与税・遺産税に流用して、すべての永住権保持者を米国籍と同等として取り扱うのは正しくありません。ビザで米国に滞在するすべての外国人、および、Domicile が日本にある多くのグリーンカード保持者は、贈与税・遺産税法上、非居住外国人とするのが正しい判定となります。
米国の遺産税は2016年現在18%から40%までの12段階の累進税率で、課税対象となる遺産の金額が基礎控除545万ドル(2016年)を超えていれば税金が発生します。非居住外国人と判定される永住権保持者は、米国市民に適用される545万ドルの非課税遺産額を全額受けることは認められません。遺産税に関する日米租税条約を適用することにより、非課税額の一部を受けることが可能となります。(577)