帰国と米国住居売却のタイミング
帰国に際してそれまで住んでいた住居を売る場合の税金問題について検討します。売却前5年間のうち2年間、納税者が所有権を有し(所有条件)、日常の生活に使用(居住条件)してきた主たる住居(プリンシパル・レジデンス)を売却して得た売却益のうち、一定金額までが非課税(免税)扱いとなることは周知のとおりです。一定金額とは、独身者25万ドル、既婚者で夫婦合算申告50万ドルです。所有条件と居住条件さえ満たせば、非課税枠は非居住外国人にも適用となります。非課税枠を超える売却益がある場合は、超過額が連邦税(2015年現在20%の長期キャピタル・ゲイン税率)、および、州所得税の対象となります。
米国に滞在していた日本人が所有していた住居売却のタイミングが、日本帰国後すなわち、日本の居住者となった後の場合、住居の売却益は米国と日本の双方で確定申告して報告することになります。25万ドル・50万ドルの非課税枠は、あくまでも米国の連邦税と州税の計算上だけに適用される規定であり、日本では日本の税法に基づいて税金が計算されます。25万ドル・50万ドルの非課税枠の恩典は日本の税金計算に使うことが認められず、日本の追加税金となり、せっかくの節税の機会を失うことになります。この観点から、帰国の際の住居売却のタイミングは帰国以前が有利と言えます。(551)