永住権で非居住外国人になる場合
永住権(グリーンカード)保持者は、たえずResident Alien (居住外国人)として米国市民と同等の扱いを受けることは周知の通りです。永住権を保持していると自動的に米国居住者になるという決まりは、所得税の取り扱いについてだけ言えることであり、贈与税・遺産税の取り扱い上適用されないことはあまり知られていません。永住権の扱いが贈与税・遺産税と所得税とで異なることは、米国税法第7701(b)(1)に「贈与税・遺産税を除く」と読み取れる記述によって確認できます。
贈与税・遺産税法上、外国人の居住者・非居住者の判定には、Domicile (定住地) と呼ばれる概念が適用されます。定住地とは、本人がいずれは戻って来ると考えている故郷のような場所のことで、それが米国内にあれば「居住者」、米国外にあれば「非居住者」と判定されます。本人の意思に基づく主観的な判定基準を適用すると、ビザで米国に滞在する全ての外国人は、定住地が米国にないため非居住者となります。老後米国滞在を続けるか帰国するか定かでない永住権保持者も、非居住者になります。国際結婚をして子供は米国籍、死後は米国のお墓に入るつもりの永住権保持者は、居住者と判定されます。
米国市民に認められる連邦遺産税の基礎控除は543万ドル(2015年)です。米国を定住地とする居住外国人にも543万ドルの非課税額の全額が認められます。非居住外国人は日米遺産税条約第4条の適用により、米国内遺産が全世界遺産に占める割合で計算した543万ドルの一部を非課税にすることができます。(536)