日本在住の永住権保持者の税務
米国の永住権保持者が永住権を放棄せずに日本に住んでいる場合、両国の居住者として日本と米国で全世界所得を報告して確定申告を行う義務があります。その際、同一の所得が双方の国で課税を受けて二重課税が生じます。その救済措置として「海外役務所得控除」と「外国税額控除」の規定が設けられています。海外に居住する米国市民のために設けられた米国の税法規定が、永住権保持者にもその適用が認められるのです。
「海外役務所得控除」は、海外で得た給与や自営業事業所得などの役務所得について一定額を非課税所得として扱い、その金額を所得からはずすことによって税金を軽減します。一定金額とは、2014年9万9200ドル、2015年は10万800ドルであり、2016年以降もインフレ調整による増額が予定されています。この所得控除を受けるためには、外国の居住権取得後1暦年以上経過していること(居住条件)、あるいは、外国での実際の滞在日数が12カ月のうち330日以上であったこと(実際滞在条件)のいずれかの条件を満たす必要があります。フォーム2555参照。
「外国税額控除」は、すでに外国で課税された所得に再度計算される連邦税を、税額控除の形で税額から差し引くことによって課税免除の働きをするものです。「海外役務所得控除」の金額を超える所得に対する二重課税の排除に役立ちます。フォーム1116参照。(517)