帰国と米国住居売却のタイミング
帰国に際してそれまで住んでいた主たる住居を売る場合の税金問題について検討します。売却前5年間のうち2年間、納税者が所有権を有し、日常の生活に使用してきた主たる住居(プリンしパル・レジデンス)を売却して得た売却益のうち、一定金額までが非課税(免税)扱いとなることは周知のとおりです。一定金額とは、独身者25万ドル、既婚者で夫婦合算申告50万ドルです。非課税枠を超える売却益がある場合は、超過額が連邦税(2014年現在20%)、および、州所得税の対象となります。所有条件と居住条件さえ満たせば、非課税枠は非居住外国人にも適用となります。
米国に滞在していた日本人が所有していた住居売却のタイミングが、日本帰国後すなわち、日本の居住者となった後の場合、住居売却益は米国と日本の双方で課税対象となるため、両国で確定申告することになります。25万ドル・50万ドルの非課税枠は、あくまでも米国の連邦税と州税の計算上適用される規定であり、日本の所得税の計算には適用されません。米国での節税分が日本の税金計算上の外国税額控除の減額となります。結局は住居売却益の全額が日本で課税を受け、せっかくの非課税枠を活用できなくなり増額となります。以上から、帰国の際の住居売却の時期には注意を払う必要があります。(496)