米国進出形態・支店の税務
日本企業の米国への進出形態の一つに、支店による展開があります。駐在員事務所が米国において準備的・補助的活動を行うのに対して、支店は直接、米国内での事業活動に従事します。事業活動には、販売促進活動、補償役務の提供、資金の運用・調達、本社製品の維持、アフターケア・サービス、修理などが含まれます。支店は日米租税条約第5条に言及されている恒久的施設(略称PE)に該当します。米国税法第882条にも、米国内において商活動に関与する外国企業は連邦法人税の対象となる旨の記述があります。
連邦法人税の課税の範囲は、PEに帰せられる利益であり、米国内の支店と実質的に関連のある所得に限定されます。外国法人のための税金フォーム1120Fで連邦法人税の申告を行います。支店は、州の法人税の申告も必要とします。州法人税の計算上、州によっては連邦課税所得を出発点とする場合と、全く異なる課税基準に基づく計算をする場合とがあります。例えば、ニューヨーク州法人税の場合、純利益、資本金、代替所得にかかる税金額のうち最高額を支払うことになっています。
支店形態の欠点は、税務調査に発展したり、訴訟に巻き込まれたりした場合、日本本社にまで調べが及ぶことです。(494)