事業形態と税務 - S コーポレーション(S法人)
米国国内で設立された株式会社が、税法規定上の一定要件を満たすと、選択によりSコーポレーション(S法人)と呼ばれる事業形態になります。S法人は、会社と株主の両段階での二重課税の回避を達成するパススルーの仕組みを応用しています。すなわち、パートナーシップやLLCの場合と同様、S法人には組織段階での課税関係は発生せず、所得や利益、損失、控除項目は、年度ごとに持株割合に応じて各株主に割り当てられ、株主の段階での構成員課税が適用となります。所有と経営が分離されていて、株主の責任が有限であるなど、外見上普通の株式会社と何ら変わりないため、対外的に比較的高い信用を得られることがS法人の長所です。短所は、非居住外国人が株主にはなれないことであり、また、外国法人を含む法人がS法人の株を所有できないことです。
米国50州のいずれかの州の会社法の規定に基づいて設立された内国法人が、次の4条件のすべてを同時に満たすとS法人の選択を行うことができます。
①株主数が100人以内であること。
②株主は、個人、遺産財団あるいは特定信託であること。
③株主は、非居住外国人、法人あるいはパートナーシップではないこと。
④発行株式は1種類であること。
S法人としての取り扱いを希望する法人は、申請書フォーム2553様式を所定の提出期限までにIRSへ提出します。S法人の選択には株主全員の同意が必要です。(492)