事業形態と税務 - LLC リミテッド・ライアビリティー・カンパニー
LLC (リミテッド・ライアビリティー・カンパニー) は、パートナーシップと株式会社の特長を兼ね備えた組織です。米国で設立される事業形態のうち最も多数を占めているのがLLCです。パートナーシップの純利益が組織段階での課税(団体課税)ではなく、各パートナーが持分利益に対して出資者の段階で課税(構成員課税)を受けるのと同様に、LLCも選択により会社組織段階での課税を避け、出資比率に基づいて各出資者に割り当てられた純利益について、出資者の段階での課税を受けられます。個人出資の場合は個人所得税を、法人出資の場合は法人税を納税する構成員課税の形態を採ります。パートナーシップの一般パートナーと異なり、LLC出資者(構成員)は会社の経営に参加する際、事業リスク、債務および損失に関して有限責任で済ませることができます。出資者個人の財産によってLLC組織の負債の責任を負う必要がないということです。
日本の居住者(米国税法上の非居住外国人)、または、日本法人が米国LLCの出資者である場合、米国出資者と同様、LLCの純利益、損失、控除に出資比率を掛け合わせた持分金額を報告して確定申告する義務があります。出資者が日本の個人の場合は非居住外国人用のフォーム1040NRで、日本法人の場合は外国法人用フォーム1120Fで申告・納税しなければならず、いたって煩雑です。そのため、外国人、外国法人による米国LLCへの投資はできる限り回避することが勧められます。(491)