事業形態と税務 - 株式会社


自営業ではなく会社組織を結成して事業展開する選択肢も考えられます。株式会社(法人)は、資金提供者である株主と経営陣である役員・取締役によって事業運営を行う組織です。所有と経営の分離の原則に基づき、法人は株主から分離独立した租税主体として扱われます。株主は株式の引受額(出資額)までの責任を負います(株主有限責任の原則)。自営業の個人事業主が無限責任を負うことと比べて対照的です。法人は、毎年組織の所得計算を行い、その所得に課せられる法人税の支払いを行わなければなりません。

 

法人の総収入からすべての関連必要経費を差し引いた後の金額である純利益が、法人税の対象となります。法人税の税率は、連邦が35%、州・市税がそれぞれの州・市によって異なり1%~10%です。株主が法人からの分配によって受取る配当に対して所得税が課税されます。組織と株主の段階での二重課税が生じる点が、法人の短所と言えます。役員、従業者は、法人から支払われる給与・報酬に対して所得税およびFICA税(ソーシャル・セキュリティ税6・2%、メディケア税1・45%)が課税されます。法人は、米国50州およびワシントンDCの会社法に基づいて設立されます。事前に商号(法人の名称)、授権株式数、額面金額、取締役会の構成員氏名(社長、副社長、ディレクター、オフィサー)などを載せて作成した基本定款および付属定款を州務長官に提出して認可を得ます。(489)

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