法定福利費
従業員を雇うと雇用主が保険料を負担して加入しなければならない保険制度として、労災保険(Workers Compensation)および廃疾保険(Disability Insurance)があります。これらは、社会保障税の雇用主負担分、失業保険税とともに、米国における「法定福利費」を構成します。
災労保険は、従業員の就業中の事故、病気、死亡などに備えて雇用主が加入する州レベルの強制保険です。従業員を一人でも雇用する雇用主は、労災保険の加入が必要です。ほとんどの州では雇用主が民間の保険会社を通じて保険に加入しますが、一部の州では州政府が労災を扱います。雇用主は四半期毎に保険会社または州に保険料を支払います。保険料は全額雇用主の負担であり、料率は州によって、また給与額、職種、業種、従業員の職種・性別によって異なります。労災保険制度は無過失責任の原則によっているため、就業時間内の業務遂行中に傷害を負えば従業員に過失があっても支払対象になります。
廃疾保険は、就業不能保険とも訳されます。従業員を一人でも雇用する雇用主は、強制加入しなければなりません。傷病を原因として、継続して7日以上労働、勤務が不可能となった場合、就業不能期間の給与を補填する保険制度です。保険料の支払いなどの取り扱いは労災保険とほとんど同じですが、違いは保険料の雇用主、従業員の双方による負担も可能なことです。(487)