相続税の外国税額控除 


日本の国籍を有する日本居住者が亡くなり、相続人である日本の家族が遺産を相続することになりました。遺された財産は、日本の銀行預金と不動産、米国の不動産です。日本では日本国内財産ばかりでなく、国外(米国)財産を含む全世界財産が日本の相続税の対象となります。日本の相続税の申告・納税義務者は、各相続人です。

 

日本に居住する日本人の米国税法上の身分は、非居住外国人と呼ばれます。非居住外国人が米国国内不動産を残して亡くなった場合、米国遺産税の対象となります。米国遺産税の申告・納税義務は、相続人ではなく被相続人の遺産にあります。すなわち、実際の申告と納税は、被相続人のかわりに遺言執行人または遺産管理人が執り行います。

 

すでに一度、米国で遺産税の課税を受けた米国不動産を、日本において再度相続財産に含めて日本の相続税の計算を行うと、日本において二重課税が生じます。この二重課税問題を解決する調整方法が、日本の税法上の「外国税額控除」です(相法20の2)。相続により取得した国外財産について、その地の法令により相続税に相当する税が課された時は、相続税相当額を控除できます。ただし、相続税合計額に国外財産が財産総額に占める割合を掛け合わせた金額を超えないこととなっています。(472)

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