遺言がない場合のプロベート(検認)手続き
米国のプロベート(検認)手続きとは、被相続人が残した財産をどのように分けるかについて、検認裁判所(Probate Court)の監督のもとで行う法律手続きのことです。遺言がある場合とない場合とでは手続きに違いがあります。
遺言を遺さずに死亡した場合、無遺言相続法(州法)に従って相続手続きが進められます。まず、遺産管理人になる地位を有する者が自身を遺産管理人と指定する旨を記載した申請書を検認裁判所へ提出し、それに基づいて申請者に対して権限付与書が発行され、相続執行手続きが可能となります。遺産管理人は遺された財産を調査し、特定し、公正市場価格で評価します。死亡時点で返済すべき債務を被相続人の遺産の中から支払い、更に債務返済後の遺産に課せられる遺産税(Estate Tax)の支払いを済ませます。その後に残された財産を、前述の無遺言相続法の配分割合で分配します。
遺産は最終的に法定相続人に分配されるものの、通常、州の検認裁判所での手続きに1~2年またはそれ以上を必要とします。そのため遺言がない場合、相続分配を確実に、早く執行させることは望めません。時間がかかる分、弁護士等専門家の手数料も高くなります。遺言は、相続の執行を円滑かつ速やかに、そして確実に確保するために是非とも用意しておくことが勧められます。(469)