日本の相続税128-相続 死亡保険金による納税対策
<日本の相続(128)-死亡保険金による納税対策>
財産が増えると、当然相続税も増えます。例えば4,000万円の財産増加に対して、相続税は800万円増えると仮定します。二通りの異なる財産増加方法が考えられます。第一の方法は、所有している土地の路線価が以前より上がって相続税評価額が4,000万円増えたケースです。第二の方法は、新たに生命保険に加入して課税対象の死亡保険金が4,000万円増えたケースです。どちらも相続財産が4,000万円増えて支払う相続税も800万円増え、同じように見えます。
しかし問題は、増えた相続財産4,000万円の中身です。第一の方法は、土地の相続税評価額が4,000万円増加し、これにより増えた相続税800万円は簡単に土地で支払うことはできません。相続税は原則金銭払いですから、定期預金を解約して支払うか、土地を処分してその売却代金で払うか、どうしても払えない時は物納にします。いずれにしても、増えた800万円の納税には苦慮することになります。
一方、第二の方法は、死亡保険金が4,000万円増え、新たに800万円の相続税が増えても、その800万円は増えた死亡保険金で支払うことができます。納税後は3,200万円の現金が手元に残り、納税資金や生活費に活用できます。生命保険の加入は「相続税が増えるから損だ」とは言えないことがわかります。(233)