日本の相続税118-相続 訴訟の相続
<日本の相続(118)-訴訟の相続>
貸金返済訴訟や交通事故損害訴訟など財産上のトラブルに関する民事訴訟で原告や被告が裁判の途中で死亡すると、弁護士などの訴訟代理人を依頼して裁判を行っている場合には訴訟は継続しますが、代理人を依頼していない場合、裁判手続きは一時中断します。いずれの場合でも、訴訟当事者の地位を相続するには、相続人は死亡から3か月経過後に、「訴訟手続の受継の申し立て」をして裁判所に相続人として認められなければなりません。この手続きは相続人が相続放棄できる相続開始後3か月間はできません。相続放棄をした場合には、裁判を引き継ぐことはありません。
「訴訟手続の受継の申し立て」には裁判の事件番号、原告名、被告名、相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です。申し立てが認められると、相続人が正式に被相続人(故人)の訴訟の原告または被告としての有利・不利な状況をそのまま受け継ぎます。他の相続財産と違い、相続人は被相続人の裁判上の地位なら何でも引き継げるわけではなく、離婚訴訟や親子関係といった身分関係に関する裁判では、相続人が訴訟を引き継げる場合と、引き継げない場合(死亡により訴訟終了あるいは検察官が地位を受け継ぐ)とに分かれます。刑事裁判は、起訴された被告人以外が裁かれることはなく、被告人の死亡により裁判が終了するため、相続人が引き継ぐことはありません。(118)