日本の相続税111-相続 生命保険金と特別受益
<日本の相続(111)-生命保険金と特別受益>
相続人が保険金受取人として指定された生命保険金の受け取りは、相続人の固有の財産であり遺産には含まれません。それでは、生命保険金は「特別受益」になるでしょうか。「特別受益」とは、相続時にすでに固有財産となっている生前贈与財産等を相続分の前渡しとみなして相続財産に加え、遺産の配分することを言います。例えば、相続人が長男と長女、相続財産が1億円で、別に長男は6000万円の生前贈与を受けていて、この生前贈与が「特別受益」に該当するとします。この場合の相続分は1億円に6000万円を加えて計算し、それぞれ2分の1の8000万円ずつとなります。長男の相続分は生前贈与ですでに受領済みの6000万円を差し引いた2000万円であり、長女の相続分は8000万円となります。
生命保険金の受け取りは、実質は相続人が被相続人から生前贈与ないしは遺贈を受けたのとあまり変わらないと考えられ、相続人間の公平をはかるため「特別受益」と見るべきであるとの主張がされてきました。これに対して、平成16年10月29日に最高裁の判例で「生命保険金は特別受益には該当しない」と結論付けられました。ただし、生命保険金の支払いが、他の相続人との関係で著しく不公平である場合には、特別受益とみなす例外が発生する余地が残されています。(216)