日本の相続税106-相続 相続放棄の手続


<日本の相続(106)-相続放棄の手続>

相続放棄をする手続きは、自分が相続人であることを知ったときから3ヵ月以内に、相続放棄申述書に必要事項を記入して家庭裁判所に提出します。後日家庭裁判所から呼び出しがあり、裁判官の面前で申述が虚偽や脅されたものではなく、真意に基づくものである旨を申し述べます。そして、相続放棄申述受理証明書の発行を受けます。被相続人の債権者にこの証明書を見せれば、返済義務がないことの証しとなり請求されなくなります。

相続放棄によって思いがけない結果を生み出すことがあります。例えば、父親が亡くなり、法定相続人は母と子二人の合計三人であったとします。すべての遺産を母が相続できるようにと、子二人がそろって相続放棄をしたとします。その結果、それまで相続人でなかった第二順位の直系尊属(故人の親や祖父母)あるいは第三順位の兄弟姉妹が法定相続人になります。相続人が増えるため、母は財産の3分の2あるいは4分の3しか相続することができなくなり、子の意図することは達成できなくなります。

このような結果を招かないようにするためには、子は相続放棄の手続きをすることなく、便宜的に「相続分皆無証明書」を利用して相続登記をして遺産分割を済ませます。この方法により、子が法定相続人の地位を保ちながら事実上の相続放棄をして、母に遺産の全部を帰属させることができます。(106)

Copyright © 2014 Joe Oshima, CPA All Rights Reserved