日本の相続税104-相続 単純承認


<日本の相続(104)-単純承認>

相続が開始したからといって、誰もが喜んで相続人として遺産を引き継ぐとは限りません。土地、建物、預貯金などのプラスの財産よりも負債(マイナスの財産)の方が多い場合や相続争いに巻き込まれたくない場合には、相続を選択せずに「相続放棄」(民法938条)することができます。また、負債はプラス財産の限度内で引き継ぐという条件付で相続する「限定承認」(民法922条)を選択することもできます。相続放棄および限定承認は、相続開始後3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

相続放棄あるいは限定承認の申述をしないことは、すなわちプラスの財産と負債の財産の一切を相続する「単純承認」の立場を採ることを意味します。単純承認には何らの届け出も必要とせず、自分が相続人になったことを知った時から3ヵ月が過ぎると、自動的に単純承認したこととして扱われます。相続財産の一部または全部を処分したり、相続放棄や限定承認した後で相続財産の一部または全部を隠匿した場合も、単純承認したこととなります。

相続人は、単純承認したことによって、単純承認の取消し(撤回)はできなくなりますし、その後は相続放棄や限定承認を選択することはできません。(209)

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