日本の相続税92-相続 遺言能力
<日本の相続(92)-遺言能力>
遺言は、法律上、満15歳に達した者で、正常な判断能力があれば誰でも作成することができます(民法961条)。遺言者は遺言作成時に、遺言能力を有することが必要とされます(民法963条)。遺言能力とは、遺言を有効にすることのできる意思能力であり、それは自己の行為の結果を判断することのできる精神能力のこととされています。
精神病、強度のノイローゼ、酩酊状態などのときに行った遺言は、遺言能力がなかったとされ、遺言は無効とになる場合があります。ただし、遺言能力は遺言をするときに備わっていればよく、その後に判断能力を欠く状態になったとしても遺言の効力には影響はありません。
公証人が病院などに出張して作成した遺言書の場合、遺言者は遺言当時、痴呆状態であり、遺言する能力はなかったからその遺言は無効であるという争いが生じることがあります。このような争いが生じる理由として、現実的には一部の相続人に促されて遺言する場合があるからです。実際、このような争いになった場合、病名や年齢だけでは判断されず、それぞれの痴呆の進行度によって判断せざるを得ません。争いを避けるために、遺言の際に医師の診断書とっておくことが勧められます。(197)