日本の相続税91-相続 遺言による分割、認知、信託設定
<日本の相続(91)-遺言による分割、認知、信託設定>
- 同族会社や個人事業経営者で、後継者を指定しておきたい
同族会社や個人事業、農業などに従事していて、営業上の財産が法律上も個人の財産である場合、死亡後、株式や債権が複数の法定相続人に分散してしまうと、事業継承が困難になります。このような事態を招くことに備えて、後継者に事業上の財産を相続させる旨の遺言が必要です(民法908条)。
- 再婚をし、先妻の子と後妻がいる
先妻の子と後妻との間では、とかく感情的になりやすく、極めて高い確率で遺産争いが起こります。争いの発
生を防ぐため、遺言できちんと分け与える財産を指定しておく必要があります(民法906条)。
- 認知したい子がいる
認知していなかった子を遺言で認知して、財産を残すことができます(民法781条2項)。認知を受けた子(非嫡出子)の法定相続分は、嫡出子(正規婚の子)の法定相続分の2分の1です。法律婚の子と平等に相続させるには、遺言にその旨の記述が必要です。
- 別居中で事実上離婚状態にある配偶者がいる
別居中であろうと離婚訴訟中であろうと、未だ法的に離婚が成立していなければ、配偶者は相続権を有しています。遺言によって「妻には相続させない」旨の記載があれば、遺留分(4分の1)だけの相続になります。
- 信託設定して将来の生活保障する
遺言信託の形で財産を残し、認知症の妻のために信託から利益が定期的に振り込まれるようにすることができます。(196)