日本の相続税82-相続 婿養子
<日本の相続(82)-婿養子>
一人娘の家に婿(むこ)入りして家業を手伝い、妻の両親の面倒も見ている場合があります。同居していると元からの家族のように感じてしまいますが、婿は相続人の配偶者という関係に過ぎません。将来は家業を継ぐつもりでも、養子縁組の届出をしていなければ、法律上の養親子の関係は成立せず、義父の財産を相続する権利もありません。嫁の場合も同じです。
養子縁組の届出を済ませておけば、養親子の関係を解消しない限り相続権は失われません。養子縁組をしない場合でも、家業を手伝ってもらっていた、老後の世話をしてもらったなどといったことがあり、その気持ちに報いようという意思があるのならば、遺言で遺贈(遺言による財産の贈与)の手続を執っておくべきでしょう。
養子縁組による法律上の養親子ではなく、義父の死後相続人がいる場合、養親の扶養や援助に要した費用を立替金として相続人に請求することが可能です。相続人がいない場合は、特別の縁故関係者として遺産の分配を請求することもできます。
養子は、実親との法律上の親子関係を存続したまま養親との親子関係も築くため、実父母に対する相続権があり、二重の親子関係が保たれます。(187)