日本の相続税35-相続 裁判所の分割調停・審判


<日本の相続(35)-裁判所の分割調停・審判>

 相続人の間で協議を重ねても財産分割の決着がつかないときは、家庭裁判所に調停を申し立てます。裁判所は調停の日を決めて当事者全員を呼び出し、調停委員2名と裁判官からなる調停委員会を仲立ちにして、まず当事者各人の主張や解決策を個別に聞きます。それを他の当事者に伝えると同時に代替案を聞き、それぞれの意見の食い違いを調整していきます。最後に調停委員会から調停案が出されますが、強制する権限はなく、その調停案に当事者全員の意見が一致すれば調停調書にまとめられて、調停は終了します。一致しない場合は、さらに審判へ持ち込まれます。

審判は強制的に遺産の分け方を決定する手続で、家事審判官と呼ばれる裁判官がみずから証拠調べをして、それによって把握した事実にもとづいて、具体的な財産の分配方法を決めます。この審判にも不服の場合、相続人は高等裁判所へ異議申し立てをすることができます。

協議や調停で財産の分割が成立すると、相続開始時にさかのぼってその効力が生じ、それぞれの遺産は各相続人の所有物として確定します。遺産分割のやり直しは、所有権の移転、すなわち贈与の発生となります。(140)

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