日本の相続⑩ 指定相続分
相続人が二人以上いる場合に、被相続人は遺言によって法定相続分とは異なる相続割合を指定することができます。また、異なる相続割合を指定することを弁護士など第三者に委託することもできます。遺言で各相続人の相続分を指定することを「指定相続分」といいます。相続には被相続人の意思が優先されますから、「指定相続分」は法定相続分に先立って適用されます。法定相続分では妻には50%以上、子には均等割の財産が分与されますが、例えば、親の面倒を見てくれた子と冷たかった子とで差をつけたいという場合に活用できるのが「指定相続分」の制度です。ただし、各相続人に対する最低限相続を保証する制度である遺留分に反するような、極端に不公平な「指定相続分」を指示することはできません。したがって、各相続人の遺留分がどのくらいかを確認してから「指定相続分」を指示する必要があります。遺留分は、法定相続分の2分の1または3分の1であり、兄弟姉妹については、遺留分はありません。
相続分の指定が一部の相続人だけにあった場合、他の相続人は残りの財産について法定相続分によって振り分けることとされています。(780)