遺産分割協議(1)
日本の相続人の中の一人からでも要求があれば、すべての相続人が協議で互いに話し合って遺産分割を決めます。遺言による指定相続分や民法による法定相続分が決められているのに、相続人同士の話し合いで自由に遺産分割の割合を変えられるというのは、矛盾しているようにも感じられます。しかし、指定相続分および法定相続分はあくまでも各相続人の取り分の限度で、その分に関して相続人はいつでも自分の権利を主張できます。したがって、財産の一部または全部を放棄するのも自由です。
遺産分割協議開始の呼びかけは相続人の誰であってもすることができますが、相続人全員の協議への参加が絶対条件です。一人でも欠けていたらその協議は無効とされます。必ず本人が協議に参加しなければならないというわけではなく、代理人を立てることができます。全員が一堂に会して協議するのが普通ですが、書類を郵送することで書面による協議を行うことも可能です。相続争いの原因となる要素が最も多いとされている遺産分割は、遺産の内容・性質、相続人の心身状態・年齢・職業・生活形態など、あらゆることを考慮して話し合いが行なわれることが大切です。(647)