相続不動産の取得費:日米の違い


米国居住者が日本にある不動産を売却する際、日本と米国の両国で確定申告を行う必要があります。処分する不動産が相続によって取得したものであった場合、取得費の取り扱いが日米で異なるため注意を要します。例えば、日本で父親が亡くなり、米国に住む子が遺産を相続したと想定します。子は不動産を売却して現金化し、その資金で日本の相続税を支払うことになったとします。日本の税法上、相続財産の取得費は、被相続人 (亡くなった父親)の歴史的取得価格を相続人(子)が引き継ぎます。これをCarryover Basisといいます。取得費が不明な場合は、不動産の売却代金 (譲渡収入) の5%を取得費として申告することができます。このため日本では必ずかなり高額な譲渡益が計算されます。

米国の税法上、相続財産の取得費として、日本とは異なり相続開始時(死亡時)の時価を使います。これをStep-up Basisといいます。米国では相続開始後それほど時間が経っていない売却は、相続時の時価と売却時の価格はほぼ同額となるため、確定申告をしても譲渡益や税金は殆ど発生しません。そのため、譲渡益にかかる税金は日本だけで納付し、米国では報告するだけで税金は発生しないという極端な結果が生じることがあります。(549)

 

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