日本の相続税115-相続 胎児の相続権


<日本の相続(115)-胎児の相続権>

胎児は、未だに生まれていないので権利の主体になれないのが原則ですが、相続に関しては例外的に既に生まれたものとみなされ、相続できることになっています(民法886条)。つまり、胎児の父親が胎児の出生前に死亡した場合、相続に関する関係においては、胎児は既に生まれていて権利能力を有していたものとして取り扱われ、その結果、相続人となることができます。胎児は出生の蓋然性が極めて高く、相続を認めないのは社会感情に反するという理由によるものです。

理論上は、相続開始後に胎児が現実に出生したときに、相続開始時にさかのぼって相続したものとなります。従って胎児がいるのに胎児を無視して遺産分割がなされても、胎児が無事に生まれた場合には、遺産分割をやり直しをしなければなりません。そのような無駄を避けるためには、胎児が出生するのを待って遺産分割を行うのが現実の取り扱いです。

子供が他にいなかった場合、第2順位以降の血族相続人(兄弟姉妹、父母・祖父母)は、胎児が生きて生まれると相続権がなくなり、胎児が死産だと相続できることとなり、胎児が生きて生まれてくるか否かについて著しく影響を受ける立場にあります。しかし、母親である配偶者は、胎児が生きて生まれても2分の1の相続分を有し、胎児の生死によってそれほど影響は大きくない立場にあります。(220)

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