日本の相続税107-相続 限定承認の選択


<日本の相続(107)-限定承認の選択>

限定承認は、相続人がプラスの相続財産の範囲内だけで故人のマイナス財産(債務)を負担する、条件付きの相続方法です(民法922条)。返済後財産が残ればそれを相続します。

相続放棄は相続人としての地位から離脱し、相続財産の正負にかかわらず継承しないのに対し、限定承認は相続を承認して相続財産の資産・負債を引き継ぐものの、債務の支払いは相続した財産の範囲内に留めるという方法です。特にマイナスの財産がプラスの財産よりも多い可能性のある場合は、有効な手段です。従って、債務超過になっても自分の財産で返済に当てる必要はありません。

次の場合に限定承認を選択すると効果的です。

1.     相続財産と債務がいくらあるか分からず、特に債務超過に陥っているか否か不明な場合には、相続財産を限度として弁済を行うことができます。

2.     相続人が家業を受け継いで再建をはかる見通しがある場合には、相続放棄をせずに、限定承認を行い家業の再建をはかった方がよい場合があります。

相続財産の中に先祖伝来の家宝などがあって、どうしても相続したい場合に、限定承認をした上でその家宝の鑑定評価額を弁済することで競売にかけられずに済みます。(107)

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