日本の相続税75-相続 生命保険契約に関する権利の評価
<日本の相続(75)-生命保険契約に関する権利の評価>
生命保険は、被保険者の死亡や障害によって保険金が支払われますが、これを「保険事故」といいます。保険の契約者・受取人が父親で、被保険者が母親という場合、父親が死亡して被保険者が生きていても「保険事故」は発生せず、保険契約はそのまま存続します。保険金は支払われず、生命保険契約に関する権利は、相続により父親から相続人(子)に受け継がれます。その際、生命保険契約に関する権利は相続財産として扱われ、相続税が課税されます。
生命保険には、定期保険(中途解約では既に払い込んだ保険料は戻らない)や養老保険がありますが、課税対象となるのは払込保険料の一部が解約返戻金として戻ってくる養老保険の方です。
生命保険契約に関する権利の価額は、2003年3月31日までは、一定算式に基づいて計算して3割以上の圧縮評価が可能でした。このため、以前は生命保険契約に関する権利は、相続税対策の一つとして利用されていました。平成15年度の税制改正により、契約者と被保険者が異なる生命保険契約の権利の圧縮評価規定が廃止され、「相続開始時において契約を解約した場合に支払われる解約返戻金の額によって評価する」ことに変更となりました。(180)