日本の相続税101-相続 相続人の不存在

<日本の相続(101)-相続人の不存在>

天涯孤独の人が遺言を残さず死亡し、相続人がいないことがあります。身寄りがない人が亡くなり、自分の死後財産をどうするかという遺言を残していなかった場合、財産は一体誰のものになるのでしょうか。

まず、利害関係人(被相続人と何らかの関係があった人)あるいは検察官の請求により、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、相続財産の管理や負債の清算をして、債権者や受遺者に対して請求催告の公告をします。また、一定公告期間を定めて不明の相続人を捜索し、期間内に相続権利の主張の名乗りがなされなければ、管理人に知れなかった相続人、相続債権者、受遺者は権利を失い、相続人不在が確定します。

次に家庭裁判所が「特別縁故者」からの申し立てを受け付けます。「特別縁故者」とは生計を同じくしていた内縁の妻や事実上の養子、療養看護に努めた親族・知人・看護士などです。内縁の妻は相続できないのが常ですが、相続人がいない場合で「特別縁故者」と認められれば財産の一部または全部が分与されます。(216)

日本の相続税100-相続 代襲相続と相続排除

<日本の相続(100)-代襲相続と相続排除>

 親が死ぬと、その子どもは第一順位の相続人です。子どもが親よりも先に死んだ場合には、孫(子どもの子)がいれば子どもに代わって相続人になれます。このように子や孫(直系卑属)がどこまでも相続できる制度が代襲相続です。

代襲相続は、相続人が死亡している場合に限らず、相続排除や相続欠格によって相続人が生存しているものの、その権利が認められない場合にも適用されます。例えば、虐待、非行、侮辱などの理由のため遺言による相続排除の対象となった子どもに、子や孫(直系卑属)がいると、その子や孫は代襲相続によって遺言者の遺産を相続できます。相続排除のため相続人の取り分はゼロでも、子や孫などの代襲相続人は他の相続人に遺留分の減殺請求ができます。遺留分とは、民法が相続人に保証している最低限度の財産のことであり、遺留分の減殺請求とは、遺留分権利のある相続人が遺言によってそれ以下の遺産しか受け取れない場合に、遺留分を侵害している人から不足分を取り戻すことを言います。(215)

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