日本の相続税121-相続 宅地評価減の適用要件
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<日本の相続(121)-宅地評価減の適用要件>
「小規模宅地」は生計の維持に最低限必要な範囲に限られ、減額対象になる敷地には「限度面積」が設定されています。限度面積は、宅地が居住用であるか事業用であるかによって、そして、相続人要件を満たすか満たさないかによって、200平方メートル、240平方メートル、400平方メートルの3段階に分かれます。また、相続した人の条件によって、限度面積の80%または50%の減額率が適用されます。
住宅用宅地――土地の取得者が配偶者、同居親族または同一生計親族で相続人要件を満たす場合、限度面積240平方メートル、減額率80%(20%評価)が適用されます。取得者が上記以外の相続人で相続人要件を満たさない場合は、限度面積200平方メートル、減額率50%に制限されます。
事業用宅地――土地の取得者が、故人の事業を承継する親族、または、自分の事業を継続する同一生計親族で相続人要件を満たす場合、限度面積400平方メートル、減額率80%が適用されます。取得者が上記以外の相続人で相続人要件を満たさない場合、限度面積200平方メートル、減額率50%に制限されます。
貸付用宅地――故人または同一生計親族が経営する貸地、賃貸住宅の敷地、駐車(輪)場の敷地を取得する場合、限度面積200平方メートル、減額率50%が適用されます。(226)
日本の相続税120-相続 評価減の対象となる宅地の種類
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<日本の相続(120)-評価減の対象となる宅地の種類>
「小規模宅地の評価減の特例」は、生活の基盤となる最小限必要な財産を相続税から守るという主旨で設けられました。この特例の対象となる宅地の種類は、被相続人(故人)が所有していた宅地等のうち次のものを指します。
① 故人、および故人と同一生計の配偶者や子などの親族が自宅住居の用に供している宅地・借地権。 借地権とは、借りた土地に建物を建てて、地代を払って利用していると生じる権利をいい、相続によってその評価額が相続人に承継されます。
② 相続人および親族の事業の用に供している宅地および借地権。例えば、被相続人および親族が本屋を営んでいる場合の店舗の敷地や個人開業している医者の診療所の敷地など。
③ 相続人および親族の不動産貸付用の宅地・借地権。例えば、アパートの敷地。
④ 相続人および親族の同族会社が事業を行なっているその宅地・借地権。
遺産が申告期限までに分割されていない場合には、他の要件を満たしていても、適用を受けることができません。申告期限までに遺産分割が間に合わなかった場合には、いったん評価減の特例を適用せずに申告と納税を済ませます。その後、申告期限から3年以内に遺産分割協議が整ったとき、更正の請求の手続によって、税金が還付されます。(120)
日本の相続税119-相続 自宅敷地の評価減の特例
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<日本の相続(119)-自宅敷地の評価減の特例>
遺産の主なものが自宅で、その相続税評価額が基礎控除を超えるため相続税がかかり、相続税を払うには自宅を売らなければならない事態が起こり得ます。相続税が相続人の住居の継続や事業の継続を脅かさすようなことがないように、生活の基盤となる最小限必要な財産を相続税から守るという主旨で設けられた制度が「小規模宅地等の評価減の特例」です。これは、亡くなった人の居住用宅地や事業用宅地のうち、一定の面積までの部分について、通常の路線価等による評価額から一定の評価減(50%引きまたは80%引き)を受ける減税優遇措置です。
例えば、配偶者が70坪(230平方メートル)、時価(路線価評価額)1億5000万円の自宅敷地を相続した場合、居住用宅地の評価減の特例により、自宅敷地のうち240平方メートルまでの部分の相続税評価額は80%引き、つまり20%評価となります。すなわち、自宅敷地の相続税評価額は、3000万円(1億5000万円の20%)に減額します。従って、相続人が配偶者と子供2人の計3人で、相続財産が他に5000万円あるという場合、相続財産の評価額は自宅敷地の3000万円とその他財産5000万円で、合計8000万円となり、基礎控除以下であるため相続税はかからずに相続できることになります。(224)
日本の相続税118-相続 訴訟の相続
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<日本の相続(118)-訴訟の相続>
貸金返済訴訟や交通事故損害訴訟など財産上のトラブルに関する民事訴訟で原告や被告が裁判の途中で死亡すると、弁護士などの訴訟代理人を依頼して裁判を行っている場合には訴訟は継続しますが、代理人を依頼していない場合、裁判手続きは一時中断します。いずれの場合でも、訴訟当事者の地位を相続するには、相続人は死亡から3か月経過後に、「訴訟手続の受継の申し立て」をして裁判所に相続人として認められなければなりません。この手続きは相続人が相続放棄できる相続開始後3か月間はできません。相続放棄をした場合には、裁判を引き継ぐことはありません。
「訴訟手続の受継の申し立て」には裁判の事件番号、原告名、被告名、相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です。申し立てが認められると、相続人が正式に被相続人(故人)の訴訟の原告または被告としての有利・不利な状況をそのまま受け継ぎます。他の相続財産と違い、相続人は被相続人の裁判上の地位なら何でも引き継げるわけではなく、離婚訴訟や親子関係といった身分関係に関する裁判では、相続人が訴訟を引き継げる場合と、引き継げない場合(死亡により訴訟終了あるいは検察官が地位を受け継ぐ)とに分かれます。刑事裁判は、起訴された被告人以外が裁かれることはなく、被告人の死亡により裁判が終了するため、相続人が引き継ぐことはありません。(118)
日本の相続税117-相続 婚外子
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<日本の相続(117)-婚外子>
正式な婚姻関係にない男女間に生まれた子である婚外子のことを非摘出子といいます。非摘出子とはいえ、父親(被相続人)の子であることには変わりありませんから、第1順位の相続人となり相続権を得ます。ただし、父親である被相続人によって生前に認知されているか、被相続人の死後、認知の請求を家庭裁判所に対して行い、認知(強制認知)されることが必要です。なお、死後認知の請求は、父親が死亡してから3年以内に行わなければなりません。
認知があれば非摘出子として相続分を有することになりますが、その相続分は嫡出子の2分の1です(民法900条4号)。これについては、生まれてきた子には何の責任もないのに、嫡出子との間に相続分において差別を設けているのは法の下の平等に反するとして、同等とする民法改正の動きがあります。また、被相続人の死後の認知の場合、遺産分割が既に終わっていれば、その相続分に相当する価額を各相続人に請求することができますが、遺産分割のやり直しを求めることはできません(民法910条)。(222)
日本の相続税115-相続 胎児の相続権
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<日本の相続(115)-胎児の相続権>
胎児は、未だに生まれていないので権利の主体になれないのが原則ですが、相続に関しては例外的に既に生まれたものとみなされ、相続できることになっています(民法886条)。つまり、胎児の父親が胎児の出生前に死亡した場合、相続に関する関係においては、胎児は既に生まれていて権利能力を有していたものとして取り扱われ、その結果、相続人となることができます。胎児は出生の蓋然性が極めて高く、相続を認めないのは社会感情に反するという理由によるものです。
理論上は、相続開始後に胎児が現実に出生したときに、相続開始時にさかのぼって相続したものとなります。従って胎児がいるのに胎児を無視して遺産分割がなされても、胎児が無事に生まれた場合には、遺産分割をやり直しをしなければなりません。そのような無駄を避けるためには、胎児が出生するのを待って遺産分割を行うのが現実の取り扱いです。
子供が他にいなかった場合、第2順位以降の血族相続人(兄弟姉妹、父母・祖父母)は、胎児が生きて生まれると相続権がなくなり、胎児が死産だと相続できることとなり、胎児が生きて生まれてくるか否かについて著しく影響を受ける立場にあります。しかし、母親である配偶者は、胎児が生きて生まれても2分の1の相続分を有し、胎児の生死によってそれほど影響は大きくない立場にあります。(220)
日本の相続税114-相続 先妻の子の相続権
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<日本の相続(114)-先妻の子の相続権>
離婚した夫婦は法律上お互い他人となるため、離婚後元夫婦の一方が死亡しても、元配偶者には相続権はありません。一方、離婚訴訟中や長年別居していて離婚届を出していない状態で配偶者が死亡した場合には、夫婦の実態はなかったとしても、籍があるため残された配偶者は相続権を持ちます。
離婚した夫婦間に子がいた場合には、親権がどちら側にあろうとも、子との親子関係が切れることはありません。離婚した夫婦の子は、両親のどちら側についていても、また父親または母親が再婚して姓が変わっていても、親子の縁は切れることはなく、法定相続人としての権利を有します。再婚相手との間に子供が生まれていれば、先妻の子は後妻の子と同じ割合で相続権を持ちます。
先妻の子も後妻の子も、法律的には「嫡出子」と呼ばれて相続上の権利は平等です。つまり先妻の子だから遺産をもらう資格がないとは言えません。たとえ相続権を放棄するという念書が取ってあっても、そのような念書は無効です。もちろん、先妻の子が遺産を受け取る必要はないとして相続放棄することもできます。それとは逆に、遺言の指定相続による遺産分割が先妻の子の持分権利を侵害したとして「遺留分減殺請求」をすることもできます。また、先妻の子が先に死んでいた場合、先妻の子の子供が代襲相続人になります。(114)
日本の相続税113-相続 代襲相続人
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<日本の相続(113)-相続 代襲相続人>
本来相続人となるべき相続者(推定相続人、例えば子)が相続開始前に死亡している場合に、孫が代わりに相続することが認められます。代わりの相続を受けた者のことを代襲相続人、相続開始前に死亡している推定相続人のことを被代襲者と呼びます。代襲相続人になれるのは、被相続人の子と兄弟姉妹だけであり、直系尊属(父母、祖父母)には代襲相続は認められません。また、息子の嫁のような推定相続人の配偶者も代襲相続人になれません。
代襲相続は、相続欠格や相続排除など、推定相続人が生存している場合にも起こります。推定相続人に犯罪や非行があったため相続人としての資格が欠格・排除になった場合、子が代襲相続人として代わりに相続することが認められます。
相続人に子がなく、父母も既に死亡している場合は、兄弟(姉妹)が相続人になります。兄弟が既に死亡しているケースでは、その子であるおい(またはめい)が兄弟に代わって相続人になります。この場合、おいが「代襲相続人」であり、死亡した兄弟が「被代襲者」となります。「代襲相続人」となるべきおいも既に死亡していた場合は、再代襲は認められず、おいの子は相続人になりません。子の代襲相続人になるべき孫が死亡していた時は、ひ孫がというように再代襲が繰り返し認められますが、兄弟姉妹の代襲は、おいかめいの段階で打ち切られます。(218)
日本の相続税112-相続 生命保険金と相続税
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<日本の相続(112)-生命保険金と相続税>
死亡を原因として支払われる生命保険金は、亡くなった人が生前から所有していた財産(遺産)ではなく、契約上受取人として指定された相続人の固有の財産であり、民法上遺産には含まれません。そのような生命保険金は遺産分割協議の対象にはなりません。また、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。ただし、相続税法上は異なります。被相続人が保険料を負担していた契約については、相続税の計算上はみなし相続財産とされて、相続税の課税の対象となります。
本来は相続財産ではないが、被相続人の死亡を原因として、相続人のもとに入ってきた財産を税法上みなし財産として課税対象とするものに次があります。
- 死亡保険金(生命保険金・損害保険金)-被相続人が保険料を負担したもの。生命保険金は法定相続人一人につき500万円が非課税となります。
- 死亡退職金、功労金、弔慰金-死亡後3年以内に支給が確定したもの。法定相続人一人につき500万円が非課税となります。
- 生命保険契約に関する権利-保険契約者・受取人が死亡して被保険者が生存の場合に継承される権利
- 個人年金など定期的に現金が給付される定期金の権利
遺言によって受けた利益(借金の免除など)(217)
日本の相続税111-相続 生命保険金と特別受益
- At December 16, 2013
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<日本の相続(111)-生命保険金と特別受益>
相続人が保険金受取人として指定された生命保険金の受け取りは、相続人の固有の財産であり遺産には含まれません。それでは、生命保険金は「特別受益」になるでしょうか。「特別受益」とは、相続時にすでに固有財産となっている生前贈与財産等を相続分の前渡しとみなして相続財産に加え、遺産の配分することを言います。例えば、相続人が長男と長女、相続財産が1億円で、別に長男は6000万円の生前贈与を受けていて、この生前贈与が「特別受益」に該当するとします。この場合の相続分は1億円に6000万円を加えて計算し、それぞれ2分の1の8000万円ずつとなります。長男の相続分は生前贈与ですでに受領済みの6000万円を差し引いた2000万円であり、長女の相続分は8000万円となります。
生命保険金の受け取りは、実質は相続人が被相続人から生前贈与ないしは遺贈を受けたのとあまり変わらないと考えられ、相続人間の公平をはかるため「特別受益」と見るべきであるとの主張がされてきました。これに対して、平成16年10月29日に最高裁の判例で「生命保険金は特別受益には該当しない」と結論付けられました。ただし、生命保険金の支払いが、他の相続人との関係で著しく不公平である場合には、特別受益とみなす例外が発生する余地が残されています。(216)