年間非課税贈与額

年間非課税贈与額> 

2013年現在、日本の贈与税を課せられることなく贈与を受け取れる金額は、年間一人110万円の基礎控除額までです。受贈者が米国居住者(日本の非居住者)である場合も同じ非課税額が適用されます。年間一人110万円の基礎控除額を超えた金額については贈与税が課税されます。日本の贈与税の納税義務者は、受贈者であるため、贈与を受け取った米国在住者が期限日である年明けの3月15日までに贈与税の申告・納税を行う必要があります。

米国の税法上、贈与税の納税義務者は、日本とは逆に受贈者ではなく贈与者となっています。非居住外国人(父)から米国居住者(子)への贈与は、米国の国外財産がかかわる場合、連邦贈与税は生じません。すなわち、日本の父名義の銀行口座から米国の子名義の銀行口座に向けて資金が振り込まれた時点で、非居住外国人が国外財産を贈与したこととなり、そうした贈与は米国贈与税の対象とはなりません。非居住外国人が行う財産移転が連邦贈与税の対象となるのは国内財産のうち有形資産(不動産、現金、宝石、貴金属、自動車、美術品など)が関わる場合だけです。財産移転が贈与税の対象になる場合、年間贈与の非課税額として受贈者1人につき2013年1万4000ドル(インフレ調整で毎年変更)の規定を利用することができます。(452)

日本の親からの生前贈与にかかる税金 Gift Received from a Parent in Japan

<日本の親からの生前贈与にかかる税金 Gift Received from a Parent in Japan>

グリーンカード、Eビザ、Lビザなどの米国居住者が日本の親から生前贈与の形で資金提供を受け、その送金額を頭金として米国で住宅を購入することを考えています。その場合、日本と米国の贈与税がどのように関わるか検討します。まず日本の贈与税ですが、人から財産の移転を受けた受贈者は、通常、贈与税を支払う義務を負います。贈与税を一時的に回避する相続時精算課税制度と呼ばれる方法を利用すると、父母ごとに最高2500万円までについて、贈与税を課せられることなく資金を受け取ることができます。当制度を採用しない贈与や、限度額を超えた金額の贈与は、贈与税が課せられます。

次に米国の贈与税について見てみます。米国の贈与税の納税義務者は、受贈者(子)ではなく贈与者(親)であり、日本とは逆になっています。贈与者である日本の親が、米国税法上の非居住外国人である場合、課税対象となる贈与は、米国国内財産だけに限られます。親名義の日本の銀行口座から米国の子の銀行口座に向けて資金の振り込みがなされた時点で、日本国内で子が親の財産の贈与を受けたことになります。日本の親からの送金は、米国国外(日本)財産であり、贈与税の対象外です。以上から、米国居住者が日本の親から、日本と米国の贈与税を課せられることなく資金提供を受けることが可能です。(441)

米国国内財産の贈与 Gift of Intangible Assets

<米国国内財産の贈与 Gift of Intangible Assets> 

 米国居住者である子が日本の居住者である親から贈与を受け取り、その金額が基礎控除の110万円を超えている場合、日本の贈与税を避けられないこと、そしてその際納税義務を負うのが受贈者(贈与を受け取る人)であることは周知の通りです。日本からの贈与が同時に米国でも贈与税の対象となる場合があります。米国では日本と逆に贈与者(贈与をあげる人)が納税義務を負います。贈与者が米国税法上、非居住外国人(日本の親)である場合、米国の贈与税の対象になるのは、米国国内財産の移転だけに限られます。日本の親が移転する財産のうち米国国外財産は、米国贈与税の課税対象外です。

米国国内財産とは、移転の時点で財産の所在が米国内にある財産をいいます。米国国内財産のうち、有形資産として分類される財産が米国贈与税の対象となり、無形資産と分類される財産は非課税となります。有形資産、無形資産の分類は次のとおりです。

①有形資産(課税)-不動産、自動車、現金、宝石貴金属、美術品等。

②無形資産(非課税)-株式、債券、有価証券、手形、著作券等。

有形資産・無形資産の区分は贈与税にだけ使われ、遺産税の課税上適用されません。(348)

日本から米国居住者への贈与 Gift from Japan to U.S. Resident

<日本から米国居住者への贈与 Gift from Japan to U.S. Resident>

 日本に住む親から米国に住む子への贈与は、日本と米国のそれぞれの国で贈与税の対象となるかどうかを検討しなければなりません。その際、贈与者と受贈者の国籍や居住者・非居住者の別、財産の所在国、財産の種類などが課税・非課税の決め手となります。

日本国籍がある日本居住者から日本国籍がある米国居住者(グリーンカード、Eビザ、Lビザ、Hビザ等)への、日本の無税贈与枠である基礎控除(110万円)を超える財産の移転は、財産の所在国や受贈者の海外滞在年数の長短に関わりなく、日本の贈与税が必ず課せられます。受贈者が米国籍保持者であっても、日本国内財産、国外とも、日本の贈与税が課せられます。

米国では、贈与税の納税義務者は受贈者(贈与を受けた人)ではなく贈与者(贈与を贈った人)であり、日本とは逆になっています。贈与が米国の贈与税の対象になるかどうかは、贈与された財産の所在国がどこであったか、財産の種類が何であったかによります。まず、贈与税が課せられるのは、財産の所在国が米国であった場合だけであり、日本など米国外であった場合は、納税義務者(贈与者)である日本在住の親は課税対象から外されて、米国贈与税は課税されません。米国国内財産の移転であっても、財産の種類が有形資産であれば課税対象となり、無形資産であれば非課税です。(347)

永住権保持者の贈与税・遺産税 Green Card Holder and Gift Tax

<永住権保持者の贈与税・遺産税 Green Card Holder and Gift Tax>

 永住権(グリーンカード)保持者は、所得税法上、居住外国人として米国市民と同等の扱いを受け、全世界所得が課税の対象となることは周知の通りです。永住権を保持している外国人が自動的に「居住外国人」の扱いを受けるのは、所得税の取り扱いに限ります。贈与税・遺産税法の取り扱い上、所得税で使われる「実質的滞在条件」とは全く異なるDomicile(定住地)という概念が適用されて、永住権保持者が居住者あるいは非居住者のいずれかに判定されます。所得税法上の判定基準を贈与税・遺産税に流用して、すべての永住権保持者を米国籍と同等として取り扱うのは致命的な誤解です。Domicile (定住地)とは、本人がいずれは戻ってきて定住すると考えている故郷のような場所のことで、それが米国内にあれば「居住外国人」、米国外にあれば「非居住外国人」となります。そのため、ビザで米国に滞在するすべての外国人および多くの永住権保持者は、贈与税・遺産税法上、非居住外国人とするのが正しい判定となります。

非居住外国人と判定される永住権保持者は、連邦遺産税の基礎控除額として6万ドルだけが認められ、米国市民に適用される534万ドル(2014年)の非課税額は認められません。同様に、連邦贈与税の基礎控除額として受贈者一人当たり年間1万4000ドル(2014年)だけが認められ、米国市民に適用される534万ドルの生涯非課税贈与額は認められません。非居住外国人は、贈与税・遺産税の基礎控除額が大幅に制限される一方、課税対象となる贈与・遺産として米国内資産だけが含まれることとなっています。(346)

米国から日本への贈与 Gift from U.S. to Japan

<米国から日本への贈与 Gift from U.S. to Japan>

 米国の贈与税 : 米国では財産を贈る側の個人(贈与者)の国籍や居住者・非居住者の別によって、贈与税の課税範囲が左右されます。贈与者が米国籍保持者・米国居住者である場合、相手(受贈者)の国籍や居住者・非居住者の別に関わりなく、受贈者一人につき年間1万4000ドル(2013年、2014年)の非課税額を超える財産移転が連邦贈与税の対象となります。1万4000ドルの年間非課税額を超える贈与があっても、さらに534万ドルの生涯非課税贈与枠の適用により贈与税を支払わずに済ませることもできます。

贈与者が非居住外国人である場合、課税対象となる贈与は、米国内の有形資産(不動産、現金、自動車、宝石貴金属、美術品など)の贈与だけに限られます。米国内の無形資産(株式、債券、有価証券、手形、著作権など)や国外資産の贈与は非課税です。

日本の贈与税 : 日本では米国と逆に、財産を受け取る側の個人(受贈者)の国籍や居住者・非居住者の別が贈与税の課税範囲を決定します。年間110万円を超える財産の贈与を受けた日本に居住する日本国籍保持者・居住者は、贈与税の申告・納税を行う義務を負います。

外国税額控除 : 同一の贈与に対して日本と米国の両国で贈与税が課せられる場合、外国税額控除の適用により、一方の国の贈与税の計算上、他方の国の贈与税控除が認められて、二重課税の一部または全部の回避が達成できます。(257)

配偶者間の贈与 Gift to Spouse (Marital Deduction)

<配偶者間の贈与 Gift to Spouse (Marital Deduction)>

米国では配偶者間の贈与および相続は、贈与税も遺産税も一切課せられることなく非課税で財産移転ができます。税法上、Marital deduction (婚姻控除、配偶者控除と訳される場合もあります。)と呼ばれていて、法的婚姻関係にある夫婦間の財産移転を、生前、死亡時を問わず無制限に税金を課せられることなく行うことができるという規定です。この規定は、財産の贈与および相続を受ける配偶者の国籍が米国である場合にのみ適用され、贈与を与える側、遺産を遺す側の配偶者の国籍が、米国籍保持者であっても永住権保持者であってもかまわないことになっています。

永住権保持者も含めて米国籍以外の外国籍配偶者への贈与については特別の年間非課税額が規定されていて、その金額は2013年14万3000ドル、2014年14万5000ドルです。配偶者以外の人への贈与は、一人につき2013年1万4000ドル、204年1万4000ドルまでが非課税です。年間非課税額は2015年以降インフレ調整が施されて毎年調整されます。贈与者が米国籍保持者および一部の居住外国人の場合は、上記の年間非課税額を超える贈与を行ったとしても、さらに534万ドル(2014年)の生涯非課税贈与額の枠を適用することにより、贈与税を支払わずに済ませることができます。生涯非課税贈与額を超える贈与を行った場合は、40%の最高税率(予定)で贈与税が課せられます。(256)

日本から米国籍保持者への贈与 Gift from Japan to U.S. Citizen

日本から米国籍保持者への贈与 Gift from Japan to U.S. Citizen>

 日本の贈与税 : 日本国内に居住する日本人から国外に居住する外国人への贈与は、その財産が日本国内財産であっても、国外財産であっても、課税・非課税の扱いが異なることはありません。受贈者が国際結婚した息子、娘(グリーンカード保持者)の場合、日本国籍あるなしに関係なく、日本の贈与税を避けることはできません。日本国内にある不動産や株式などの財産を受け取った場合も、米国国内財産を受け取った場合も、必ず日本の贈与税が課せられます。納税義務者である外国人受贈者が日本で贈与税の申告・納税をしなければなりません。

米国の贈与税 : 非居住外国人である日本の親からの贈与で米国の贈与税が課せられるのは、米国国内財産だけです。国外財産の場合、非居住外国人贈与者は、納税義務がなく米国贈与税を免れます。国内財産の移転であっても、財産の種類が有形資産(不動産、自動車、現金、宝石貴金属、美術品等)であれば課税対象となりますが、無形資産(株式、債券、有価証券、手形、著作券等)であれば非課税です。(255)

日本から米国居住者への贈与 Gift from Japan to U.S. Resident

<日本から米国居住者への贈与 Gift from Japan to U.S. Resident>

 日本に住む親から米国に住む子への贈与は、日本と米国のそれぞれの国で贈与税の対象となるかどうか検討しなければなりません。その際、贈与者と受贈者の国籍や居住者・非居住者の別、財産の所在国、財産の種類などが課税・非課税の決め手となります。

日本国籍がある日本居住者から日本国籍がある米国居住者(グリーンカード、Eビザ、Lビザ、Hビザ等)への、日本の無税贈与枠である基礎控除(110万円)を超える金額の財産の移転は、財産の所在国が日本や米国、あるいは他のどの国であっても、日本の贈与税が必ず課せられます。受贈者が米国籍保持者で、日本国外財産が関わった場合は、日本の贈与税は課せられません。

米国では、贈与税の納税義務者は受贈者(贈与を受けた人)ではなく贈与者(贈与を贈った人)であり、日本とは逆になっています。贈与が米国の贈与税の対象になるかどうかは、贈与された財産の所在国がどこであったか、財産の種類が何であったかによります。まず、贈与税が課せられるのは、財産の所在国が米国であった場合だけであり、日本など米国外であった場合は、納税義務者(贈与者)である日本在住の親は課税対象から外されて、米国贈与税は課税されません。米国国内財産の移転であっても、財産の種類が有形資産であれば課税対象となり、無形資産であれば非課税です。(253)

米国居住者である子が日本の居住者である親から受け取る 110万円の基礎控除を超える贈与は、一定の例外(相続時精算課税制度を利用した贈与)を除いて日本の贈与税の対象となります。その贈与は同時に米国でも贈与税が課せられる可能性があります。贈与者が非居住外国人(日本の親)である場合、米国の贈与税が課せられるのは、米国内資産の移転に限られます。米国外資産の移転は、米国贈与税の課税範囲外です。

米国の非居住外国人(日本の親)が所有している米国国内財産を贈与すると米国の贈与税が発生しますが、ただし、財産の種類を有形資産と無形資産に分類して、有形資産であれば贈与税の対象となり、無形資産であれば非課税となります。有形資産、無形資産の分類は次のとおりです。

①有形資産(課税)

不動産、自動車、現金、宝石貴金属、美術品等。

②無形資産(非課税)

株式、債券、有価証券、手形、著作券等。

居住者に適用される基礎控除1万4000ドル(2013年、2014年)、税率18%〜40%が、非居住者にも適用されます。贈与者が居住外国人または米国国籍保持者である場合は、課税対象となる財産の種類や所在国に関して、異なる規定が適用されます。(254)

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